入社後1年半くらいは先輩の下について、配管工事のイロハを学びながら見習いとして現場管理をサポートしていました。そして1年半くらい経過した頃、ようやく建築会社さんを1社任せてもらえることに。初めは数件の現場を管理するだけで精いっぱいでしたが、今では担当社数が7社になり、常時70件くらいの現場を動かしています。これだけ件数をこなせるのは経験を積み、仕事の効率がアップしたからこそですが、あまりに現場が重なると、さすがにちょっと大変で早く担当を持ちたくて仕方なかったあの頃がちょっと懐かしくなることも（笑）。でも、どれだけ忙しくても「意外に何とかなる！」という自信を持てるようになりました。

できるだけ簡単にシンプルに仕事をしたいというのが職人さんの本音。でも、この仕事はシンプル・イズ・ベストではなく、手間がかかっても最終的に綺麗に見えるよう仕上げることが大切なんです。以前は「こうしちゃだめ？」という職人さんの声を聞き入れ、安易に判断した結果、最終的にやり直しが必要になったことも。今でも忘れられないほろ苦い経験ですが、その失敗があったからこそ、妥協せず厳しい目で判断できるようになりました。

今は大変に感じることも多いので、この仕事をして本当に良かったと思えるのは退職してからかもしれません（笑）。でも、この会社で給水装置主任技術者の資格を取らせてもらい、入社当時と比べると収入も約1.5倍にアップしました。また、前職時代は2ヶ月間休みなしで働くことが多々ありましたが、今は大型連休がしっかりあって日曜日も完全に休みで、時間的にも収入的にも余裕ができたのは本当に良かったと思っています。

もともと人付き合いが苦手で、この仕事を始めたばかりの頃はまわりの職人さんから「お前、暗いよ」と怒られたこともありました。今でも人付き合いは難しいと思っていますが、みんなと仲良く、くだけた話ができるようになったのは僕にとって劇的な変化です（笑）。それぞれ個性があるので、くだけすぎて失礼がないよう気をつけつつも、何気ない会話を大切にしながら楽しく仕事をすることを心掛けています。また、昔は難しくて何時間も悩んでいたことが、気づけば何も考えずにこなせるようになっています。普段は意識することはありませんが、難しく感じていた工事を当たり前に1人でできるようになっているのは嬉しいですね。

独り立ちをして2年が経過した頃、それなりに経験を積んで仕事に慣れてきたので、気の緩みというか過信のようなものが生じてしまったんです。それまでは逐一、先輩や上司に相談していたのですが、わざわざ相談するほどのことじゃない――と自分で判断した結果、後々もっといい施工方法があったのにとダメ出しされることに。幸い大きな影響は出ず些細な失敗で済んだものの、慣れてきたときこそ、慎重な判断が必要だと痛感しました。

水廻りのことならだいたいわかるので、自宅でトラブルが発生したときも自分で対処できるようになりました。ただ、家族や友達から「トイレが詰まったんだけど直してくれない？」と相談されることが増えたので、これは良いのか悪いのかちょっと悩ましいところです（笑）。でも、独り立ちしてからは自分でスケジュールを組み、自分の裁量で仕事をコントロールできるようになり、休みたいときに休みを取れるようになったのが嬉しいです。